グロテスク

グロテスク 上 (文春文庫)

ついに読みました。

すべてが誰かの語りによって進んでいく物語。
「私」「ユリコ」「和恵」「ミツル」の四人が中心となって進められていくんだけど、一番特徴的なのは「私」が悪意ある人物だということ。
ひたすらいやな気分になります(笑)
悪意溢れる目線で読書を進めていくというのは、自分まで灰色に包まれたみたいな…うん。

名門女子高での「美」と「頭」と「金」の序列が生む歪み、みたいなものなんだろうか。
「ユリコ」が完璧な「美」を持ち、娼婦になって最期には殺される女。
「ミツル」は女子高を、その「頭」で乗り切ろうとする女。
「和恵」は「美」も「頭」も「金」も中途半端で、でも負けず嫌いでなんとかして他人に認めてもらおう(褒めてもらおう)とする女。一流企業に勤めながら娼婦として殺されていく女。
そして語り手の「私」。「私」は「ユリコ」の姉で醜く、それを認めず、すべてに悪意を持って接する女。

その設定だけでもかなり難しい…というか、複雑性が垣間見えるかと思うんだけど、
それぞれの人物描写なり感情表現が面白かったです。すっと読めるし。

まぁとりあえず読んでみて下さい(笑)
私にとって一番怖かったのは「私」と「他人が見る「私」」(これは外見の話)が違ってしまうこと。
それって恐ろしいなぁ…。